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大学数学が難しい・ついていけない人へ|落単しやすい単元と期末試験で点を取る方法

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大学に入って最初の数学の授業で、「何を言っているのか分からない」と感じた人は多いはずです。高校では数学が得意だった人でも、大学の微分積分や線形代数で急につまずきます。

私も理工学部の線形代数で、授業の進め方と市販の問題集の解き方が大きく違って、非常に苦労しました。この記事では、その経験と、大学の先生が実際に公開している期末試験の問題をもとに、授業についていけない人が単位を取るために何をすればいいかをまとめます。

先に結論
・大学数学が難しいのは、授業が「定義と証明」で進むのに、高校までの勉強が「解き方の暗記」だから
・ただし、公開されている理工系1年の期末試験はほぼ全部が計算問題。しかも過去問と同じ型が予告されていた
・授業が分からなくても、定義の暗記+過去問の型の計算練習で単位は取れる
・特に点差がつくのは線形代数の固有値・対角化と微積の多変数(偏微分・重積分)
・無料で解ける過去問・問題集と参考書の選び方は後半で紹介

大学数学が難しい本当の理由:授業と試験で求められることが違う

大学数学が難しい理由は、よく「抽象的だから」「証明が多いから」と言われます。それ自体は正しいのですが、新入生が本当に困るのは、高校までの勉強法がそのままでは通用しないことです。

高校数学大学数学(理工系1年)
授業の中心例題の解き方定義 → 定理 → 証明
例題教科書に多い少ない。基本問題を授業で扱わないことも
教科書・参考書学校と市販の解き方がほぼ同じ先生ごとに記号や解き方が違う
進むスピード1単元に数週間1回の授業で1章進むことも
試験教科書・問題集と同じ型先生が作る。過去問と同じ型が多い

つまり、授業では「なぜそうなるか」を説明しているのに、学生は「どう解くか」を探して聞いているので、話がかみ合わないのです。私が線形代数で苦労したのもここでした。

ところが、単位が決まる期末試験を実際に見てみると、話は少し変わります。

実際の期末試験は何が出る?大学が公開している問題で確かめた

大学の期末試験は、ふつう学外には出回りません。ただ、前橋工科大学の新國裕昭先生のホームページでは、微分積分・線形代数・ベクトル解析などの中間・期末試験の問題と解答が公開されています(2021年度まで)。理工系1年の線形代数の期末試験の出題予告は、次のとおりでした。

線形代数I(1年前期)の期末試験

大問出題内容種類
1置換の積・符号、行列式の定義を書く計算+定義
24行4列の行列式の計算(2題)計算
3文字を含む行列式の計算計算
4余因子行列を使って逆行列を求める計算
5クラメールの公式で連立一次方程式を解く計算

線形代数II(1年後期)の期末試験

大問(配点)出題内容
1(30点)グラム行列、固有値・固有ベクトル、グラム・シュミットの直交化
2(15点)4次正方行列が対角化できるかの判定
3(35点)3次正方行列の対角化(連立漸化式への応用を含む)
4(20点)実対称行列の直交行列による対角化

※前橋工科大学 新國裕昭先生のホームページで公開されている、2021年度 線形代数I・線形代数IIの期末試験の案内より。

見てのとおり、証明問題はほとんどなく、ほぼ全部が計算です。線形代数IIは100点中70点が対角化まわりでした。しかも出題予告には「2020年度の期末テストの3のような問題」「2018年度までの期末テストの4を探して解いてみるとよい」と、過去問の番号まで書かれていました。

試験の注意書きにも、単位を取るうえで大事なことが書かれています。

  • 答えだけの解答は不可。計算の途中を「問題集の解答を作るつもりで」書く
  • 行列式の変形で「=」の代わりに「→」を書くと減点
  • 関数電卓・ノート・教科書は持ち込み不可。4次の行列式も手で計算する

もちろん、試験の作り方は先生や大学によって違います。数学科の専門科目は証明が中心です。それでも、理工系1年の教養の数学は「定義を覚えて、決まった型の計算を正確にできるか」を見る試験が多い、というのが私の実感とも一致します。授業の抽象的な話が全部分からなくても、単位はあきらめなくていいのです。

大学数学で難しい単元はどこ?理工系1年のつまずきやすさランキング

大学数学の「難しい分野」として、よく位相空間論や抽象代数学が挙げられます。ただ、それは数学科の3・4年で習う分野です。理工系の1年生が単位を落としやすいのは、次の単元です。

順位単元(科目・時期の目安)つまずく理由試験での扱い
1固有値・対角化(線形代数・1年後期)手順が長く、1か所の計算ミスで最後まで全部崩れる配点が最大。上の試験では100点中70点
2線形空間・基底・次元・線形写像(線形代数・1年後期)いちばん抽象的。定義を覚えていないと問題文が読めない定義を書かせる問題・基底を求める計算
3多変数関数の極限・偏微分・全微分(微積・1年後期)近づき方で極限の値が変わるなど、高校の感覚が通じない極限の判定・偏微分の計算
4重積分・変数変換(ヤコビアン)(微積・1年後期)積分する範囲を図にできないと式が立たない計算問題の中心
5級数の収束・発散(微積・1年前期)高校では扱わない。判定法をどれを使うか選ぶ必要がある収束か発散かを判定させる問題
6ε-δ(イプシロン・デルタ)論法(微積・1年前期)1年の最初のほうで出てきて、ここで挫折しやすい上の公開試験には出ていない。深追いしなくていい
7行列式・逆行列(線形代数・1年前期)計算は機械的だが、4次になると計算量が多い確実に取るべき得点源

※順位は、公開されている期末試験の配点と演習問題、私の線形代数の経験から見た目安です。何年で習うかは大学・学科によって違います。

2年生になると、学科によって微分方程式・ベクトル解析・複素関数・フーリエ変換などが加わります。どれも1年の微積と線形代数の計算が土台なので、1年のうちに計算の型を固めておくほど後が楽になります。

私が線形代数で苦しんだ話

私が特に苦労したのは線形代数でした。授業の進め方と、市販の問題集の解き方が大きく違っていたのです。授業では基本的な問題を扱わないことも多く、ノートを見返しても、問題集のどの問題に当たるのか分からない状態でした。

そんなときに役立ったのが、前に紹介した前橋工科大学の線形代数IIの基本問題集(PDF)です。この問題集の解き方は、私が授業で教わった考え方に近いものでした。各問題で用語の定義を確認でき、基本的で重要な問題がそろっていて、解答例も付いているので、復習に非常に効果的でした。このおかげで、勉強がかなり楽になりました。

この経験から言えるのは、「授業と同じ解き方をしている教材」を探すのがいちばん大事ということです。有名な問題集でも、授業と記号や手順が違うと、かえって混乱します。

大学数学の単位を取るための試験対策5ステップ

① シラバスで成績の付け方を確認する

まず、シラバス(授業計画)の「成績評価」の欄を見ます。「期末試験70%・課題30%」のように書かれているので、どこで何点取れば単位が出るかが分かります。期末試験だけで決まる授業なのか、課題や小テストでも点が入るのかで、やることが変わります。

② 課題と小テストは全部出す

課題や小テストが成績に入る授業なら、毎回出しているだけで期末試験の負担が軽くなります。課題を解くことが、そのまま授業の復習にもなります。試験直前に全部を詰め込まなくて済みます。

③ 過去問を手に入れて、出る型を知る

上で見たとおり、大学の数学の試験は過去問と同じ型で出ることが多いです。2〜3年分の過去問を手に入れて、どの単元から何問出るか、1問にどれくらい時間をかけられるかを把握しましょう。また、先生が最後の授業で出題範囲や「過去問の◯番のような問題」を予告することもあるので、最終回は休まないでください。

過去問の入手方法はこちらの記事で解説しています。

④ 定義を丸暗記する

線形代数Iの試験には「行列式の定義を覚えてきてください」という問題がありました。大学数学では、定義を正確に書けること自体が点になります。また、固有値・基底・一次独立などは、定義を覚えていないと問題文の意味すら分かりません。理解できなくても、まずは教科書の定義を一字一句書けるようにしてください。

⑤ 途中式を書いて、手で解く練習をする

答えだけでは点がもらえず、電卓も使えません。途中式を省かずに手で解く練習が必要です。計算ミスを減らすには、検算の方法を決めておくと効きます。

  • 逆行列を求めたら、元の行列と掛けて単位行列になるか確かめる
  • 固有ベクトルを求めたら、元の行列を掛けて「固有値×そのベクトル」になるか確かめる
  • 不定積分を求めたら、微分して元の式に戻るか確かめる

無料で使える過去問・問題集・動画

授業の教科書だけでは問題の数が足りないときは、無料の教材を使いましょう。

教材内容こんな人に
前橋工科大学 新國裕昭先生のページ微積I・II、線形代数I・II、ベクトル解析、微分方程式の中間・期末試験と解答(2021年度まで)本物の大学の試験で練習したい人
線形代数II 基本問題集(PDF)線形空間・一次独立・基底などの基本問題と解答例。同じページに定義・定理集もある線形代数IIの定義があいまいな人
予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(YouTube)大学の数学・物理を授業形式の動画で解説授業の説明で意味がつかめなかった人

※新國先生のページは、学科再編のため2022年度以降の過去問は公開しない方針で、2021年度までの問題が残されています。

他大学の問題なので、範囲や記号が自分の授業と全部同じとは限りません。自分の大学の過去問で出題の型を知り、足りない練習量を無料の教材で補う、という使い方がおすすめです。

AIや計算アプリは「答え合わせ」に使う

スマホで数式を撮るだけで解いてくれるアプリや、ChatGPTなどの生成AIは、大学数学の勉強にも使えます。ただし、試験では使えないので、答えを出させるのではなく、自分の解答の確認に使うのがコツです。

PhotomathやSymbolab

数式をカメラで撮影すると、解答と途中の手順を表示してくれるアプリです。自分の途中式と比べて、どこで間違えたかを探すのに向いています。

Photomath
Photomath
開発元:Google
無料
posted withアプリーチ
Symbolab: AI Math Calculator
Symbolab: AI Math Calculator
開発元:Symbolab
無料
posted withアプリーチ

ChatGPTなどの生成AI

生成AIは、定義の意味をかみくだいて説明させたり、具体例を作らせたりするのに便利です。一方で、行列の計算などをもっともらしく間違えることがあります。計算の答えは、上のアプリや検算で必ず確かめてください。

生成AIの使い方についてはこちらも参考にしてください。

参考書は「授業と同じ解き方か」で選ぶ

大学数学の参考書は、有名かどうかより、授業の解き方に近いかどうかで選ぶのが大事です。私が実際に使っているのは、入門向けと演習向けの2つのシリーズです。

目的シリーズ使い方
授業の理解(入門)キャンパス・ゼミ(マセマ)授業の予習と、つまずいたところの復習
問題演習チャート式 大学教養(数研出版)例題の型を覚えて、試験前の演習量を増やす

授業が分からない人向け:キャンパス・ゼミ

マセマの「キャンパス・ゼミ」シリーズは、基礎から丁寧に説明されているので、授業の内容が難しいと感じる人に特に役立ちます。私は授業の予習や、つまずいたところの復習に使っています。

※キャンパス・ゼミは改訂が続いています。最新版は線形代数 改訂13・微分積分 改訂11です(2026年9月時点)。

問題演習用:チャート式 大学教養

高校の青チャートと同じ形式で、例題と練習問題がそろった問題集です。私も実際に購入して使っています。過去問で出る型が分かったら、同じ型の例題をこの本で探して練習量を増やす、という使い方ができます。

これらの本と授業の解き方が完全に一致するとは限りませんが、手元に1冊あると、授業で扱わない基本問題を補えるので、数学が苦手な人ほどおすすめです。

よくある質問

高校で数学IIIをやっていないけど大丈夫?

大学1年の微分積分は、数学IIIの微分・積分(置換積分・部分積分・部分分数分解など)ができる前提で進みます。前橋工科大学で公開されている微分積分Iの期末試験にも、部分分数分解を使う積分が出ていました。推薦入試などで数学IIIが手薄な人は、まず数学IIIの積分計算を復習してから大学の教科書に進んでください。

大学数学の単位を落としたらどうなる?

必修科目なら、次の年にもう一度受け直す(再履修)ことになります。翌年の時間割が埋まるうえ、GPA(成績の平均点)にも響きます。GPAの仕組みと影響はこちらで解説しています。

授業にまったくついていけない。今からでも間に合う?

期末試験の2〜3週間前からでも、やることを絞れば間に合う可能性はあります。過去問で出る型を確かめ、①定義の暗記、②行列式・逆行列など確実に取れる計算、③配点の大きい単元の型、の順に練習してください。ε-δ論法のような抽象的な話は、後回しで構いません。

数学科の大学数学も同じように対策できる?

この記事の対策は、理工系・教養の数学(微分積分・線形代数)向けです。数学科の専門科目(位相空間論・代数学など)は証明そのものが問われるので、定義と定理の証明を自分で再現できるまで理解する必要があります。

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