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私は、毎年の東大合格者が10〜20名ほどの公立進学校に通っていました。その高校で数学の全範囲を習い終えたのは、高3の10月頃です。理科と社会はさらに遅く、高3で模試を受けて初めて「習っていない範囲が出ている」と気づきました。
「うちの学校、進度が遅いのでは?」と不安になっている高校生のために、この記事では河合塾の模試の出題範囲(2026年度)を物差しにして、自分の学校が何か月遅れているかを測る方法と、遅れの取り返し方を紹介します。
・河合塾の模試は、高3の4月(共通テスト模試)で数学ⅡBCが全範囲、10月(記述模試)で数学Ⅲ・化学・日本史・世界史が全範囲
・学校の年間の授業予定と模試の範囲を並べると、遅れている科目と単元が分かる
・地歴・公民の暗記は独学で先取りできる。数学・理科は独学で先取りせず、講習や通信教育を使う
・部活との両立、高3の学力格差、早慶の合格者数の数え方にも注意
公立進学校の授業はどれくらい遅い?私の高校の場合

私立の中高一貫校に比べると、公立高校の授業進度は遅いです。私の高校の場合は次のとおりでした。
- 数学:全範囲を習い終えたのは高3の10月頃
- 理科・社会:数学よりさらに遅く、高3の模試の範囲に授業が追いついていないことがあった
- 高2までの模試:国数英だけの回が多く、理科・社会の遅れに気づけなかった
授業が遅いと、そのぶん受験前の演習量が少なくなります。特に深刻なのは理科と社会です。高3になって理科・社会を含む模試を受けると、中高一貫校の受験生や浪人生と比べて、理科・社会の勉強がまったく進んでいないことを思い知らされました。
高3になると模試の成績が下がる理由は、こちらの記事で詳しく書いています。
模試の出題範囲と比べると何か月遅れている?【2026年度・河合塾】
「遅い」と感じても、何と比べて遅いのかが分からないと対策が立ちません。そこで物差しに使えるのが模試の出題範囲です。模試は全国の受験生を対象に、その時期に「ここまでは終わっていてほしい」範囲で作られています。
高3生の模試の出題範囲
河合塾の全統模試(2026年度)の出題範囲を、数学・理科・歴史について抜き出しました。出典:河合塾 全統模試案内(高3生・高卒生対象模試)
| 模試(時期) | 数学 | 物理・化学 | 日本史・世界史 |
|---|---|---|---|
| 第1回 共通テスト模試 (4月) | 数学ⅠA・ⅡBC ⅡBCも全範囲(B・Cは選択問題) | 物理:磁気・原子を除く 化学:反応速度と化学平衡・無機・有機・高分子を除く | 日本史:室町時代まで (歴史総合は全範囲) |
| 第1回 記述模試 (5月) | 数学Ⅱ型:全範囲 数学Ⅲ型:数Ⅲの微分法・積分法を除く | 物理:力学・波動 化学:理論(反応速度と化学平衡を除く) | 日本史:室町時代まで 世界史:ヨーロッパは15世紀末まで |
| 第2回 記述模試 (8月) | 数学Ⅲ型:数Ⅲの積分法(面積)まで | 物理:磁気・原子を除く 化学:高分子を除く | 日本史:天保の改革まで 世界史:欧米は19世紀前半まで |
| 第3回 記述模試 (10月) | 数学Ⅲ型:全範囲 | 物理:原子を除く 化学:全範囲 | 日本史・世界史:全範囲 |
※数学Ⅱ型は、数学C「平面上の曲線と複素数平面」を除きます。記述模試の数学Ⅲ型は、数学C「平面上の曲線」が第1回・第2回では除かれ、第3回で出題されます。実施時期は公開会場の日程で、会場によって異なります。
表から分かるのは、文系でも理系でも、数学ⅡB・ベクトルは高3の4〜5月の模試で全範囲が出るということです。つまり高2のうちに数学ⅡBCを一通り終えている前提で、模試は作られています。
理系は、夏の模試で数Ⅲの積分や化学の有機・無機まで出て、10月にはほぼ全範囲になります。私の高校で数学の全範囲が終わった高3の10月は、ちょうど模試が全範囲になる時期でした。模試に追いつくのがやっとで、そこから演習を積む時間はほとんど残っていませんでした。
高2生の模試の出題範囲
高2の全統高2模試(記述式)の数学の範囲はこうなっています。出典:河合塾 全統模試案内(高2生対象模試)
| 模試(時期) | 必答 | 選択(1題) |
|---|---|---|
| 第1回(5月) | 数学Ⅰ(図形と計量・2次関数)、数学A(図形の性質・場合の数) | 数学Ⅱ いろいろな式(高次方程式を除く)/数学A 確率 |
| 第2回(8月) | 数学Ⅰ(2次関数)、数学Ⅱ(図形と方程式・いろいろな式) | 場合の数と確率/三角関数/数列 |
| 第3回(10月) | 数学Ⅱ(いろいろな式・図形と方程式)、数学A(場合の数と確率) | 三角関数/微分法/数列 |
高2の模試は選択問題があるので、まだ習っていない単元は選ばずに受けられます。ただ、高2の10月の時点で「三角関数・微分法・数列」のどれも終わっていない場合は、高3の4月に数学ⅡBCの全範囲が出るまでに半年しかないと考えてください。
自分の学校の遅れを測る手順
- 学校の年間の授業予定(シラバス・年間指導計画)を手に入れる。先生に聞くか、学校のWebサイトで公開されていることも多い
- 上の表の模試の範囲と、学校で習い終わる時期を科目ごとに並べる
- 模試の時期までに習い終わらない単元に印をつける。これが「自分でやらないといけない範囲」
- 印をつけた単元を、次の章の「独学で先取りする科目・しない科目」に振り分ける
遅れの取り返し方|先取りする科目・しない科目
進度が遅い学校の対策として、よく「どんどん先取りしよう」と言われます。ただ、私は高2のときに物理と化学を独学で先取りしようとして、内容の理解に苦労し、結局あきらめました。はじめて学ぶ内容は頭に残りにくく、勉強の効率がとても悪かったです。
この経験から、先取りは科目によって向き不向きがあると考えています。
| 科目 | 独学での先取り | おすすめのやり方 |
|---|---|---|
| 日本史・世界史・地理・公民 | 向いている | 教科書と一問一答で、模試の範囲より少し先まで進める |
| 数学 | 向いていない | 講習・通信教育・映像授業で、解説を聞いてから演習する |
| 物理・化学 | 向いていない | 同上。私が独学で挫折したのはこの2科目 |
地歴・公民は独学で先取りできる
暗記が中心の科目は、授業を待たなくても教科書を読めば進められます。社会の模試は、記述模試の第1回で日本史が室町時代まで、第2回で江戸時代の後半までと、授業より速く進みます。学校の授業が江戸時代に入る前に夏の模試が来るなら、そこまでは自分で読んでおきましょう。
数学・理科は独学で先取りしない
数学と理科は、定義や考え方を理解しないまま問題を解いても身につきません。私が物理と化学の独学に挫折したのも、理解が追いつかないまま先へ進もうとしたからです。学校の進度を待てない場合は、解説のプロに教わる形で先に進めるのが近道です。
私は現役のとき、外部生として駿台の講習で数学と化学を受けました。講習は1講座ごとに申し込めるので、学校で習っていない単元だけを補うこともできます。
とはいえ講習は夏と冬だけです。普段の週から学校の進度と関係なく単元を進めたいなら、通信教育という選択肢もあります。
高1・高2の主要教材「単元別強化学習」は、学校の進度と関係なく単元を選んで進められます。
私は高2から受講して、偏差値55くらいから全科目60超えまで伸びました。
資料請求は無料。教材サンプルでレベルが合うかを確かめてから決められます。
※講座内容や最新の料金は公式サイトでご確認ください。
習った範囲は「初見の問題」で演習する
先取りと同じくらい大事なのが、すでに習った範囲の演習です。学校の問題集や定期テストは、解き方を覚えれば点が取れます。しかし模試や入試は、見たことのない問題で解き方を組み立てる力を問います。私の高校でも、定期テストで学年1位だった友人が東大に落ちて「暗記が得意だっただけだった」と振り返っていました。
数学の参考書をどう選ぶかは、こちらにまとめています。
なぜ公立高校は授業の進度が遅いのか
公立高校が遅いのは、先生の怠慢というより、カリキュラムの組み方の違いです。学習指導要領(平成30年告示)では、数学の各科目の標準の単位数が次のように決まっています。
| 科目 | 標準単位数 |
|---|---|
| 数学Ⅰ | 3 |
| 数学Ⅱ | 4 |
| 数学Ⅲ | 3 |
| 数学A | 2 |
| 数学B | 2 |
| 数学C | 2 |
| 合計(理系) | 16 |
1単位は50分の授業35回分です。理系の数学16単位を3年間で割ると、週5〜6時間の数学を3年間ずっと続けて、ようやく全範囲が終わる量になります。高校の3年間をそのまま使えば、終わるのは高3の後半です。
多くの中高一貫校は、中学の内容を早く終えて中3から高校の範囲に入るため、1年ほど早く終わります。公立高校が同じペースに追いつくのは、仕組みの上で難しいのです。
文武両道ができるのは一握り

部活に力を入れながら勉強も頑張りたいと思っている人は多いと思います。文武両道を目指すのは良いことですが、実際はとても難しいです。多くの人は、部活に力を入れると勉強時間が減って成績が伸びません。
その根拠になる経験があります。私は新型コロナウイルスが広がり、部活が中止になることもあった時期に高校に通っていました。部活があった通常の時期と、中止になった時期とで、定期テストの成績の分布に明らかな違いがありました。
部活があった通常の時期の、定期テストの成績の分布です。

山が2つあり、成績が上位層と下位層に分かれています。
一方、部活が中止になった時期の成績の分布はこうでした。

山が1つになり、中間層が多くなっています。勉強時間を十分に取れたためでしょう。緊急事態宣言で部活が中止になるたびに、同じような結果が見られました。
2つのグラフの形の違いから、部活があると成績の下位層が増えることが分かります。中高一貫校なら授業の進度が速いので、部活に力を入れても受験までに十分な演習を積めると思います。しかし授業の遅い公立高校では、文武両道は厳しいのが現実です。
学校の先生は、高3の11月まで運動部を続けて現役で東大に合格した「伝説の先輩」の話をよくします。ただ、それはその人がすごいだけで、誰にでも再現できる話ではありません。
高3になると学力格差が大きく開く

高3になると、同級生の間で学力の差がはっきりします。東大に余裕で合格できる人がいる一方で、日本大学に受かるか微妙な人もいます。高校に入ったときはほとんど同じくらいの成績だったのに、ここまで差が開きます。
差がつく大きな原因は、この記事で書いてきた「授業の外でどれだけ進めたか」です。授業の進度が遅い学校ほど、授業以外の勉強量がそのまま差になります。
「早慶合格者100人」でも実際に受かった人は少ない
これは公立進学校だけの話ではなく、進学校全体に言えることです。
早稲田大学や慶應義塾大学は、東大など最難関の国立大学の志望者が合格しても入学しないことが多いため、大学側がたくさんの合格者を出します。さらに文系では、ほとんどの受験生が複数の学部を受けるので、1人で3〜4学部に合格することも珍しくありません。
高校が発表する合格者数は、1人が複数合格すればその数だけ数える「延べ人数」です。「早慶合格者100人」と発表されていても、実際に受かった生徒は30〜40人くらいだと思っておいた方がいいです。
「定期テストで70位くらいだから、早慶には受かるでしょ」と油断していると、足元をすくわれます。
よくある質問
高校数学はいつまでに全範囲を終えればいい?
模試の範囲を基準にすると、数学ⅠA・ⅡB・ベクトルは高2の終わり(高3の4月の模試)まで、理系の数学Ⅲは高3の夏から秋(10月の模試で全範囲)までです。学校がこれより遅い場合は、足りない分を講習や通信教育で補ってください。
進度が遅い公立高校からでも難関大に受かる?
受かる人はいます。ただし「学校の授業だけ」で間に合う人は少ないです。模試の範囲と比べて遅れている科目を早めに把握し、地歴の暗記は自分で先に進め、数学・理科は外部の講座を使って補うのが現実的です。
高2の模試で習っていない範囲が出たらどうする?
河合塾の高2模試は選択問題があるので、まだ習っていない単元を避けて受けられます。結果が悪かったとしても、未習の範囲が原因なら気にしすぎなくて大丈夫です。ただし高3の4月には数学ⅡBCの全範囲が出るので、そこから逆算して準備を始めましょう。
学校の授業の進度はどうやって調べる?
年度初めに配られる年間の授業予定(シラバス)を見るのがいちばん確実です。学校のWebサイトで公開されていることもあります。見つからなければ、各教科の先生に「何月に何章まで進む予定か」を聞いてみましょう。
まとめ
- 河合塾の模試は、高3の4月で数学ⅡBCが全範囲、10月で数Ⅲ・化学・歴史が全範囲
- 私の公立進学校は数学の全範囲が終わったのが高3の10月。模試に追いつくのがやっとだった
- 学校の授業予定と模試の範囲を並べれば、何をいつまでに自分でやるべきかが分かる
- 地歴・公民は独学で先取りできる。数学・理科は講習や通信教育で補う
- 部活との両立、高3の学力格差、早慶の延べ合格者数にも注意
高1・高2のうちに知っておきたい受験の現実は、こちらの記事にもまとめています。
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