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模試のシーズンになると、Xには「進研模試 販売します」「全統記述 1科目300円」といった投稿が毎日のように流れてきます。これは最近始まったことではなく、何年も前から続いている光景です。

まだ受けていない模試の問題が、なんでもう売られているの?

買ったり売ったりしたら違法?お金だけ取られることはない?
この記事では、実際の販売の投稿と過去の事件をもとに、受ける前の模試が出回る理由・売り手のやり方・法律上の扱いを順番に整理しました。
- 受ける前の模試が出回るのは、学校で受ける模試は学校ごとに実施日が違うから。先に受けた生徒が問題を撮影して売っている
- 問題を撮影・スキャンして送るのは著作権の侵害にあたる。塾のテストを売って書類送検された事件も実際にある
- お金を払ったのに何も届かない詐欺が多い。買った側は後ろめたさから被害を言い出しにくく、そこを狙われる
- 買う動機は「点数が欲しい」だけではない。模試の偏差値を、指定校推薦・特待生(授業料免除)の継続・選抜クラスの基準にする高校がある
- ただし不正が見つかれば、推薦も特待も失う。点数を上げたいなら、模試の範囲を先に終わらせるほうが確実
- 過去の模試で練習したいなら、原本(本物の冊子)の過去の回を中古で買うのは原則として問題ない
なぜ「まだ受けていない模試」が買えるのか
答えは単純で、同じ模試でも、受ける日が人によって違うからです。
学校で受ける模試は、学校ごとに実施日が違う
進研模試(ベネッセ)や、ベネッセ・駿台の共通テスト模試、河合塾の全統模試の多くは、高校の教室で受ける形です。このタイプの模試は、全国の高校が同じ日にいっせいに受けるわけではありません。模試の会社が決めた期間の中で、それぞれの学校が行事予定に合わせて実施日を選ぶため、早い学校と遅い学校で1〜2週間ずれることがあります。
実際にXでは、「11月」と名前のついたベネッセ・駿台の共通テスト模試が10月18日の時点で売りに出ていました。10月に受けた学校の生徒がいた、ということです。

予備校の校舎や公開会場で受ける人も、日程がずれる
同じ回の模試でも、高校で受ける人、予備校の校舎で受ける浪人生、休日の公開会場で受ける人では、受験日が一致しないことがあります。どこかで一人でも先に受ければ、その人の手元には問題冊子が残ります。
問題冊子は持ち帰れる。解答・解説も受験後すぐに手に入る
模試の問題冊子は、受け終わったら持ち帰るのが普通です。解答・解説も、受けた直後に配られるか、Webで見られるようになります。つまり、先に受けた生徒が問題と解答を撮影すれば、まだ受けていない生徒に売れてしまう状態が毎回生まれます。
| 先に受けた人 | 後で受ける人 | |
|---|---|---|
| 手元にあるもの | 問題冊子・解答解説 | まだ何もない |
| Xでの立場 | 売り手 | 買い手 |
| よく売られている模試 | 進研模試(高1・高2)、全統記述模試、ベネッセ・駿台の共通テスト模試・記述模試など | 同じ回を後日受ける生徒 |
なお、2026年10月には、河合塾の模試の解答・解説がWeb上で実施前に見られる状態だった、という別の問題も起きました。くわしくは河合塾の模試の解答が実施前に見られた問題にまとめています。
買う人の理由|推薦・特待生・クラス分けに模試が使われる
買う側の目的は、大きく分けて3つです。
- 自分の学校の実施日が遅いので、先に問題を見て点を取りたい
- 模試の成績が、推薦・特待生・クラス分けの基準になっている
- 解き直しや練習のために、別の学年・別の回の問題が欲しい
3つ目は練習が目的なので、後で紹介する正規の方法で手に入れれば済みます。見過ごせないのは2つ目です。模試の点数は大学入試の合否に1点も入りませんが、高校の中では、模試の偏差値がお金や進路に直結していることがあります。
模試の偏差値を、校内の選考に使う学校がある
私立高校が生徒・保護者向けに公開している資料を調べると、模試の成績は次のような場面で使われていました。
| 使われる場面 | 模試の扱い(公開資料の例) |
|---|---|
| 指定校推薦の校内選考 | ふだんは評定平均が第一で、差が小さいときに模試を考慮する。ただし早稲田・上智の一部の学部の枠は、模試を評定と同じ重さで扱い、高2の11月・1月の進研模試と高3の6月の進研模試の偏差値の平均で決める(東京の私立高校、2024年度) |
| 特待生(授業料の免除)の継続 | 進研模試の7月・11月・1月の全国偏差値の平均が、国公立型なら国数英で75以上、私立文系型なら国英で77.5以上。駿台模試・校内の実力テストと合わせた3つのうち2つを満たし、評定平均4.8以上も必要(同じ高校の2年生向け基準、2024年度) |
| 選抜クラスの振り分け | 選抜クラスを2年生で組み直すとき、定期試験や模擬試験の結果をもとにする(京都の私立高校) |

特待生の例でいえば、基準を満たせなければ翌年は授業料の免除が受けられません。指定校推薦の例では、早慶上智の推薦枠を同じ学校の同級生と争い、模試の数ポイントの差で決まることがありえます。そして、そこで使われる高1・高2の11月の進研模試は、Xでもっとも多く売られている模試のひとつです。
もちろん、こうした使い方をするのは一部の学校で、多くの高校では推薦の選考は評定平均(通知表の成績)が中心です。それでも、「模試ぐらいで」と片づけられない事情を抱えた買い手がいる、ということは知っておいていいと思います。
一般入試では0点。推薦や特待では、バレたら全部失う
一般入試をめざす人にとって、先に問題を見て取った点数には意味がありません。模試の価値は、本番前に自分の弱点を見つけて、判定で今の位置を知ることにあります。答えを知って受ければ、弱点は隠れ、判定は実力より高く出ます。その判定を信じて志望校を決めれば、損をするのは自分です。
では、推薦や特待生をねらう人なら「買い得」なのかというと、逆です。上の高校の資料では、指定校推薦は懲戒処分を受けていないことが応募の条件で、特待生もその年に学則による処分を受けると、次の年度は認定されないと書かれています。不正が見つかれば、推薦も授業料の免除もまとめて失うことになります。
しかも、同じ問題は二度と出ません。基準が「3回の平均」なら3回とも買うしかなく、そのたびに詐欺と発覚のリスクを負います。同じ学校の同級生と比べられる以上、ある回だけ不自然に伸びた成績は目立ちます。
模試の点を上げたいなら、「問題」ではなく「範囲」を先に手に入れる
推薦や特待の基準になるのは、高1・高2の7月・11月・1月の模試です。これを正攻法で上げるには、模試の日までに出題範囲を終わらせておくしかありません。模試で点が取れない理由の多くは、模試の出題範囲に、学校の授業が追いついていないことです。特に公立高校は授業の進みがゆっくりで、模試の範囲に習っていない単元が入るのはよくあることです。どの模試で、どこまで範囲が進むのかは授業の進度が遅い高校と模試の範囲の記事で表にしています。
私も高1・高2のころ、定期テストでは良い点が取れていたのに、駿台模試のような難しい模試ではまったく歯が立ちませんでした。「このままで大学入試を乗り切れるのか」と不安になった気持ちは、模試の問題を買いたくなる人とたぶん同じです。
ただ、学校の進度は自分では変えられません。私が選んだのは、学校の授業を待たずに、模試に出るレベルの問題を先に解いておくことでした。高2から始めたZ会の通信教育です。
高校3年分の単元から、学校の進度に関係なく先取りも復習も選べる高1・高2向けの通信教育です。
私は高2から受講して、偏差値55くらいから全科目60超えまで伸びました。
資料請求は無料。教材サンプルで、模試に出るレベルの問題を先に見られます。
※講座内容や最新の料金は公式サイトでご確認ください。
受講してどう成績が変わったか、どのレベルを選べばいいかはZ会の高1・高2向け講座の体験談にくわしく書いています。
売り手のやり方|本物を売る人と、お金だけ取る人
Xで模試を売っているアカウントは、大きく2種類に分かれます。どちらも、先にお金を払わせるところまでは同じです。

① 本当に問題を送る売り手
先に受けた生徒が、問題冊子と解答・解説を撮影し、DMで画像を送るやり方です。投稿には次のような特徴があります。
| よくある書き方 | 意味 |
|---|---|
| 1科目300円・500円/6科目以上で2,000円 | 1科目ずつ、またはまとめて売る。安く見せて数をさばく |
| DMまでどうぞ | やり取りは外から見えないDMで行う |
| PayPay対応 | スマホの送金アプリで先払いさせる |
| 問題・解答解説あり | 問題だけでなく、配られた解答・解説も撮影して送る |
| 証拠は固定ポストに | 問題の一部の写真を見せて「本物を持っている」と示す |
| 販売代行 | 複数の生徒から集めた問題を、まとめて売っているとみられる |
1人に売った画像は、何十人にでもコピーして送れます。原価はゼロなので、売れるほど丸もうけになるしくみです。
② お金だけ受け取って、何も送らない売り手
もう1種類が、先払いのお金を受け取ったらブロックして消える詐欺です。Xでは、買った人が「この人は詐欺です」と相手のアカウントをさらす投稿がたびたび見られます。
やっかいなのは、詐欺をする側も「詐欺はしていません」「証拠あり」と書くことです。固定ポストの写真は、去年の模試や他人の投稿から持ってきた画像かもしれません。さらに、売り手どうしが「あのアカウントは詐欺」「サブ垢から攻撃されている」と言い合っていて、誰が本当のことを言っているのか、外からは見分けがつきません。
詐欺が成り立つのは、買った側が声を上げにくいから
この詐欺がなくならない理由ははっきりしています。
- 買った側にも後ろめたさがある。親や学校、警察に「模試の問題を買おうとしてだまされた」とは言いにくい
- 1回の金額が数百円と小さい。あきらめてしまう人が多い
- 相手は使い捨てのアカウント。ブロックされたら連絡のしようがない
- 相手は高校生で、模試の日程に追われて焦っている。確かめる時間がない
つまり、買う人の弱みそのものが、詐欺を成り立たせているわけです。
模試を売る・買うのは違法?
模試の問題には著作権があります。問題の選び方や並べ方、解説の書き方に工夫があるため、著作物として守られます。そのうえで、売り方によって扱いが変わります。
| やっていること | 法律上の扱い(目安) |
|---|---|
| 問題や解答を撮影・スキャン・コピーして売る、送る | 著作権の侵害。勝手に複製する、ネットで送ることにあたる。お金を取らずに配っても同じ |
| お金を受け取って何も送らない | 詐欺罪 |
| 他人の問題用紙を持ち出して売る | 窃盗+著作権の侵害 |
| 自分が受けた模試の原本(冊子そのもの)を中古で売る | 原則として違法ではない。正規に手に入れた本や冊子を中古で売るのと同じ扱い |
| 違法なコピーと知りながら画像やPDFを買って受け取る | 無関係とは言い切れない。違法にアップされたものを、知っていてダウンロードすることは法律で禁じられている |
著作権の侵害の罰則は、10年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(または両方)です。多くは権利者(模試の会社)が訴えて初めて事件になる「親告罪」ですが、実際に書類送検まで進んだ例があります。
実際に書類送検された事件
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2020年6月 | 大手の中学受験塾SAPIXのテストをコピーし、ネットオークションで売っていた都内の夫婦が、著作権法違反の疑いで書類送検された |
| 2025年11月 | SAPIX小学部の入塾テストの問題用紙をフリマサイトで売ったとして、試験監督のアルバイトだった64歳の女性が、窃盗と著作権法違反の疑いで千葉県警に書類送検された。「生活費の足しにしたかった」と話したという |
どちらも中学受験の塾の例ですが、テストのコピーを売る行為が実際に警察沙汰になることに変わりはありません。高校生の模試も、しくみは同じです。
メルカリでも、コピーは出品できない
メルカリは、「知的財産権を侵害するもの」を出品禁止にしています。例として「違法に複製された」商品(個人的に複製したものを含む)が挙げられていて、模試のコピーや、印刷したPDFもこれにあたります。
法律の説明は一般的な内容で、筆者は法律の専門家ではありません。個別のケースは弁護士に確認してください。
過去の模試を正しく手に入れる方法
練習のために模試の問題が欲しいなら、違法なコピーに手を出す必要はありません。次の3つで十分に集まります。
① 学校や塾で受けた自分の模試を解き直す
一番お金がかからず、一番効くのがこれです。間違えた問題は、そのまま自分の弱点です。
② 冠模試は、市販の問題集に収録されている
東大・京大などの大学別の模試(冠模試)は、過去の問題が市販の問題集にまとまっています。駿台の「実戦模試演習」シリーズは、駿台の大学別の模試から問題を選んで収録したものです。
③ 過去の回の原本を、メルカリで中古で買う
進研模試や全統模試のように市販されていない模試は、受けた人が手放した原本(本物の冊子)を中古で買うのが現実的です。メルカリには、過去の回の問題冊子と解答・解説のセットが多く出品されています。選ぶときは、次の3つを確認してください。
- 写真で本物の冊子だと分かるか。「コピー」「PDF」「データ」と書かれたものは違法な複製なので避ける
- 解答・解説がついているか。問題だけでは復習できない
- 何年度の第何回か。出題範囲は回によって違うので、自分の学年と時期に合う回を選ぶ
過去の回の模試の原本を探すなら、メルカリで検索するのが早いです。たとえば「進研模試 高2」で検索すると、過去の回の問題冊子と解答・解説のセットが見つかります。
駿台模試・全統模試・進研模試のそれぞれで、過去問を無料で手に入れる方法は模試の過去問の入手方法にまとめています。
よくある疑問
撮影やコピーで売るのは著作権の侵害にあたり、塾のテストのコピーを売った人が書類送検された例があります。親告罪なので、模試の会社が訴えるかどうかで変わりますが、「バレなければ大丈夫」と考えるのは危険です。お金だけ受け取って送らなければ、詐欺罪にもなります。
学校によります。多くの高校では指定校推薦の選考は評定平均が中心ですが、一部の私立高校では、評定に差がないときや特定の大学の枠で模試の偏差値を使ったり、特待生の継続や選抜クラスの振り分けの基準にしたりしています。自分の学校がどうなっているかは、進路指導の先生に確認してください。
DMのやり取りは外から見えませんが、送金の記録や画像は相手の手元に残ります。先に問題を見た生徒だけ点数が不自然に高ければ、先生が気づくこともあります。何より、バレるかどうか以前に、点数がうその判定は自分の進路を狂わせます。
取り返すのは難しいのが現実です。被害が大きい場合や、ほかにも被害者がいる場合は、警察の相談窓口(#9110)や、保護者に相談してください。同じ相手から二度と買わないこと、相手にそれ以上お金を送らないことが一番大切です。
原本をそのまま中古で売るのは、原則として違法ではありません。ただし、コピーやスキャンしたデータを売るのは違法です。また、同じ回をまだ受けていない人がいる時期に売ると、不正の手助けになってしまうので、その回の実施期間が終わってから出品するのがマナーです。
まとめ
- 受ける前の模試が出回るのは、学校で受ける模試は学校ごとに実施日が違うから
- 問題を撮影・コピーして売るのは著作権の侵害。塾のテストのコピーで書類送検された事件もある
- お金だけ取られる詐欺が多い。買った側が声を上げにくいことにつけこまれている
- 模試の偏差値を、指定校推薦・特待生の継続・選抜クラスの基準にする高校がある。それが買う動機になりうる
- ただし不正が見つかれば推薦も特待も失う。点数を上げたいなら範囲を先に終わらせる
- 練習用の問題は、自分の模試の解き直し・市販の問題集・メルカリの原本で集められる
模試の問題を買いたくなるのは、それだけ点数が気になっているからです。その気持ちは、問題を買うことではなく、次の模試の範囲を先に終わらせる勉強に向けたほうが、確実に結果につながります。
X上の投稿は2026年10月29日時点で確認した内容。事件は報道、推薦・特待生・クラス編成の基準は各高校が公開している資料(2024〜2025年度)にもとづく。
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